重原聡先生は大学病院の口腔外科などで上顎洞癌などの手術を行い、母校では学生に講義もする。取材当日は、上顎洞癌手術後にインプラント埋入で顎顔面の再建を行った患者さんがケアのために訪れていた。
「患者さんが社会復帰して、初めて治癒だと思っています。癌の手術をして生存できればよいのではなくて、その患者さんの社会復帰まで考えることが必要です。このようなケースで歯科医師にできることがあると思います。上顎がなくなるとご飯が飲み込めません。インプラントで何かできるのではないかと10年間取り組み、左半面の顔貌再建の患者さんを診られるようになりました。通常、このような患者さんは、家と病院の行き来だけで、あまり外出しないのです。日本の医療は退院したらおしまいですが、癌の大手術後、顎顔面の再建で社会復帰できるようにするまでが医療だと考えます。スウェーデンでは当たり前の医療になっていますが、日本の心の医療・ケアは、残念ながらまだまだ遅れていると思います。」
今日までに1500人以上の患者に約4000本のインプラント治療を行ってきた。
「歯科医療はすべてチームワーク医療ですが、インプラントではとくに重要です。たとえ歯科医師がしっかりしていても、スタッフが間違えることは起こり得るので、二重三重のチェック態勢が大切です。」
将来、寝たきりや介助が必要になったときどうするのか。その対応も考慮して設計を行う。
「インプラントは今の生活をよくするためのものですが、インプラントによって健康になれば、認知症になる確率も少なくなるようです。将来、設計変更がおこることもあるでしょう。その場合もネジ式にしておけば、外して義歯にできます。もちろん、審美を重視していますが、10年先、20年先に壊れたら対応できないのでは困ります。患者さんの将来を見据えたうえで、今の設計があると思いますね。」
患者さんのハピネスを日々追及~歯科医師 重原 聡~掲載記事他